(toppers-users 1473) Re: TOPPERSライセンスに関してご質問

Masaki Muranaka monamour @ monaka.org
2004年 6月 8日 (火) 00:29:59 JST


こんにちは。

ワタクシ、NPO法人TOPPERSプロジェクトの理事としての側面も
ありますが、このメールでは、一般論についてお話いたしますので、
その辺り、ご理解ください。

On 2004/06/07, at 16:38, Muramoto 村本 憲泰 wrote:
> とありますが、今後TOPPERSポーティングおよび
> それを使用した製品開発の途中でライセンスの
> 改定があったときに、何かの理由で新しいライセンス文に
> 従うことができなかった場合、開発着手時点での
> ライセンスの適用をお願いすることは可能でしょうか?

一般に、オープンソースソフトウェアのライセンスは、ソースコードが開発された
時点での利用条件を示すものであり、未来永劫の契約を行うものではありません。
受託開発にありがちな一方的な契約を想定していると、思い違いをすることが
あるかもしれません。

しかし、(これまた一般に、ですが)ソフトウェアのライセンスが変更になった場合、
変更後のライセンスがどうであれ、採用時点でのライセンスが
適用されます。
例えば、IIOSSやMGLは、途中でライセンスが変更になっていますが、
適用されるのは、そのソースコートが書かれた時点のライセンスです。

法的には、その専門家の意見を待たなければならないかもしれませんが、
常識的には、契約の条件を後になってから(たとえ著作権者といえども)
勝手に変えることは難しいでしょう。
// よって、IIOSSやMGLも、バージョンアップの機にライセンスを変えています。
// バージョンアップで、別のソフトウェアになった、という建前なのでしょう。
///// IIOSSやMGLをご存じなければ、google先生にでも聞いてください。

GPL準拠の典型的な雛形では、「バージョン2.0以降のいずれかのバージョン」と
いうような表現で、幅を持たせています。

建前にせよ本音にせよ、ライセンスが変わった場合に、特定のユーザのみ
ライセンスを以前通りにするということは、過去にあった他のオープンソース
プロジェクトで起きた記憶がありません。反例があれば、教えてください。

例えば、現在 1.4 である JSP が 1.5 でプロプライエタリなライセンスを採用した
場合(…こんなことがありえるとは思えませんが)、1.4 までの TOPPERSライセンスを
採用している 1.4 をベースに、新しい開発プロジェクトを立ち上げれば、
プロプライエタリなライセンスの縛りを受けることは(おそらく、でも多分確実に)ありません。
オープンソースを語るMLではないので言及は避けますが、そうやって分化し発展している
オープンソースプロジェクトはいくつかあります。


以上で示唆したように、過去に遡ってライセンスが提供されることはないとは思いますが、
十分にオープンなTOPPERSライセンスに、敢えてGPL とのハイブリッドライセンス条項を
加えたのは、万一NPO法人としてのTOPPERSプロジェクトに想定外の勢力が入ったときの
ための保険でもあります。
保険を十分に活用して頂ける方は、万一の時に、自ら動くことができる、もしくは動いた勢力を
支援できる方に限られるかもしれませんが。
この辺りは、流行りの"自己責任"ですね。

ロハだからというだけの理由で採用される場合には、それなりのリスクヘッジを取って頂く
必要があるのではと思っています。


うだうだ書きましたが、纏めると、
・採用したソースコードのライセンスがいきなり変わるのは、たぶんあり得ない。
・将来のバージョンまでライセンスが同一であることを保証はできない。(でもたぶん大丈夫)
・これ以上細かいことは、法曹に委ねないと解らない。

…というので参考になりますでしょうか?


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from もなか