(toppers-users 4053) ATK2のリリースについて

鴫原一人 shigihara @ nces.is.nagoya-u.ac.jp
2013年 1月 31日 (木) 15:56:47 JST


皆様

お世話になっております.
名古屋大学 鴫原です.


本日付けで、TOPPERS/ATK2を一般公開しました.
以下のURLからダウンロードできます.

http://www.toppers.jp/atk2.html
http://www.toppers.jp/atk2-download.html

ATK2(Automotive Kernel Version 2シリーズ)は,名古屋大学
組込みシステム研究センター(NCES)が,複数の企業と共同で開発した
「AUTOSAR OS仕様」をベースとしたOSで,TOPPERSプロジェクトへ
開発成果物としてコントリビュートし,オープンソースとして
無償公開致します.

※ATK2の仕様策定・実装・検証スイートの開発等を行う
 コンソーシアム型共同研究については、こちらをご覧ください
 http://www.nces.is.nagoya-u.ac.jp/news/news_20101201.html

また,「AUTOSAR OS仕様」は,「OSEK/VDX仕様」の上位互換とされ,
差分仕様のみが記載されています.さらに,曖昧な仕様や,
未規定の仕様が多く,実装する上での問題が多数存在します.
そこで,「OSEK/VDX仕様」と「AUTOSAR OS仕様」をマージして,
曖昧/未規定の仕様を解決し,日本語で仕様を記述した
「次世代車載システム向けRTOS外部仕様書」を併せて.公開しました.

「AUTOSAR OS仕様」では4つのスケーラビリティクラスが規定されていますが,
現在,スケーラビリティクラス1とスケーラビリティクラス3に対応した
カーネルのみ公開しています.スケーラビリティクラス3については
独自に定義した機能レベルにおける,レベル2を採用しています.
(機能レベルについては外部仕様書を参照してください)
スケーラビリティクラス3はメモリ保護機能を搭載しており,
TOPPERS/HRP2開発ノウハウを活かし,より多くのターゲットに
対応するための実装を目指しています.また,メモリ保護機能に
対する網羅的なテストも実施済みです.
現在,スケーラビリティクラス1とスケーラビリティクラス3の
マルチコア拡張版を開発中で,スケーラビリティクラス2,
スケーラビリティクラス4に関しては,今後の開発を検討している段階です.


なお,AUTOSARでは,システムコンフィギュレーションにXMLを使用します.
OSに対して上位レイヤーから与えられるOS用のコンフィギュレーション
ファイル(ディスクリプションファイル/XML)を入力として,タスク等の
OSオブジェクトの生成を行います.
TOPPERS新世代カーネル用コンフィギュレータのRelease 1.9.0から,
このAUTOSAR仕様のXMLの入力に対応しており,ATK2ではこの
コンフィギュレータを使用することで,AUTOSARアーキテクチャ
におけるOSとして動作することを想定しています.
また,XMLは人が読み書きするのが困難ですので,OS単体で使用する
ために,TOPPERS新世代カーネルで従来から使用されている静的APIでも,
XMLと等価のコンフィギュレーションを行うことを可能としました.
ATK2の静的APIの仕様に関しては,ATK2に同梱されるドキュメントを
参照してください.

TOPPERS新世代カーネル用コンフィギュレータは,
以下のURLからダウンロードできます.

http://www.toppers.jp/cfg.html


AUTOSAR仕様は,未規定の仕様が多く,様々な実装方法が
存在すると考えています.ご使用になっての改善提案等は
大歓迎ですので,気軽にお知らせ下さればと思います.


<NCES人材育成プログラム(NEP)からのお知らせ>

NEPでは,ATK2,外部仕様書を題材にしました,
「OSにフォーカスしたAUTOSAR概論」
を以下の日程で,開講します.

 2013年2月12日(火) 9:30-17:00 集合時間 9:15

本コースの受講生募集を,2013年2月5日(火) 24:00 まで
Webで行っています.
※ただし定員になり次第,締め切らせていただきます.

コース概要とお申込みページは以下となります.
http://www.nces.is.nagoya-u.ac.jp/NEP/H24T04.html


以上,よろしくお願いします.

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鴫原 一人 <shigihara @ nces.is.nagoya-u.ac.jp>
名古屋大学大学院情報科学研究科
附属組込みシステム研究センター 研究員
TEL:052-789-4843 FAX:052-789-4237