TOPPERS Realtime System Sample (RSS) - LPCXpresso GPS Clock


Prev Next

ハードウェアについて


概要

LPCXpressoは、NXPセミコンダクターズのARM Cortex-Mシリーズのマイコン評価基板で、Embedded Artists社が設計しているものです。 LPCXpresso Clockは、LPCXpresso評価基板の上にドッキングする形で使用する事のできるディジタル時計です。 LPCXpressoと同形状でスムーズにドッキングできる他、高輝度7セグメントLEDを搭載し、視認性に優れたディジタル時計を実現することができます。 また、正面にはアクリルフロントパネルを取り付ける事ができます。

外観

LPCXpresso Clock基板はLPCXpressoの上部にドッキングする形で使用します。

4隅の穴はフロントパネル取り付け用の穴です。 アクリル板などを加工してLPCXpresso Clockにフロントパネルとして取り付ける事ができます。

特徴

対応可能なLPCXpresso

LPCXpresso Clockは、各種LPCXpressoで使用可能なように設計されています。

使用するピンはLPCXpressoによって異なります。 詳しくはピンI/Oマップを御覧下さい。

ブロック図

LPCXpresso Clockのブロック図を以下に示します。

回路図

LPCXpresso GPS Clock用外付け回路

GPSモジュール

USBシリアル変換モジュール

照度センサ

周辺照度を観測するためのセンサです。 明るさによって抵抗値が変化するデバイスを用いています。 アナログ入力ポートに接続する設計になっています。 デバイスには、新日本無線社製のNJL7502Lを採用しています。

NJL7502Lは光に反応するNPNトランジスタと考える事ができます。 光が強くあたるほど電流を多く流すようなデバイスです。光源が含む波長と、負荷抵抗RLによって異なる電流特性を示します。

照度センサを用いれば、部屋の照度を基に7セグメントLEDの輝度調整を行ったり、ブザーを取り付けて太陽に反応する目覚まし時計に仕立てたりする事が可能になります。 右に示すのが白色LEDを光源にした場合の出力電圧の特性表です。 負荷抵抗RLに応じて出力電圧が変化するのがわかります。

赤外線センサ

赤外線リモコンの信号を受信することのできるセンサです。 赤外線リモコンの信号には様々な種類があります。 各社の赤外線リモコンに応じてプロトコルを認識するためのプログラムを設計する必要があります。 デバイスには、PARA LIGHT社製PL-IRM2121-A538を採用しています。

一般家電等に広く用いられている赤外線通信の多くは38KHz前後の搬送波にデータをのせて通信します。 PL-IRM2121-A538は、搬送波を取り除いた形で信号を出力してくれるデバイスです。

出力信号は図にあるとおり、入力信号に対して反転出力です。 送信側を設計したい時や、信号を解釈する時に間違えないようにして下さい。

スイッチ

時刻設定などに使用することのできるスイッチです。 左右に2つずつ、合計で4つのスイッチが搭載されています。 アクリルフロントパネルを取り付けて使用する場合、赤外線リモコンを用いて操作するようにして下さい。

ユーザ拡張ピン

未使用ピンを使って独自の回路を追加したい時に使用することのできるピンです。

基板の上下左右4箇所に配置されています。一部のピンは+5VとGNDに接続されています。 後述する応用事例にあるような拡張に使用することができます。

LEDソースドライバ

LEDに電流を供給するためのデバイスです。 LPCXpresso Clockはアノードコモンで回路が構成されています。

このソース・ドライバを制御する場合には、1度に複数の回路をアクティブにしないで下さい。 最悪の場合、シンク・ドライバが破損します。 デバイスには、TD62783を採用しています。

TD62783は、8チャンネルのソースドライバを1つのパッケージに内臓したICで、18ピンのパッケージで構成されています。 入力ピンと出力ピンが対向配置されていますので、配線がしやすくなっています。

各チャンネルは、図のような回路構成になっています。

LED

1桁の数字や1部の記号を表示することのできるLEDです。 7つの部位から構成されていることから、7セグメントLEDと呼ばれています。 実際にはドットがありますので、8つの部位から構成されています。 デバイスには、A-551SRを採用しています。

A-551SRは、アノードを共通接続したLEDモジュールです。 カーソード側を個別にオンオフする事で任意の点灯パターンを得ることができるようになっています。

高さ19.00mm、幅12.70mmのモジュールです。 整列した数字を表示できるのが特徴です。 安価で視認性も良いので、装置の表示用デバイスとして広く組み込み機器にも搭載されています。

電流制限抵抗

LEDは電流を光に変える事のできるデバイスです。 流れる電流によって光量が決まります。 流す事のできる電流には一定の上限があります。 電流制限抵抗はこの電流の量を決定する為の抵抗です。

LEDは通常、順方向に電流を流した場合に現れる電圧Vfが規定されています。 これを順方向電圧と呼びます。 電流制限抵抗の値は、この順方向電圧Vfと、抵抗を流れる電流によって生まれる電圧から計算する事ができます。 D1の順方向電圧をVfとし、R1の電圧をVRとすると、電源電圧Vccから以下の式が成り立ちます。

Vcc = Vf + VR

VRは流れる電流をIとすると、VR=I×R1となり、D1に流したい電流をIに代入する事で抵抗値R1を決定する事ができます。

LEDシンクドライバ

LEDから流れる電流の流入させるためのドライバです。 1つの活性化されたアノード・コモンLEDから流れてくる電流を流し込むように設計されています。 デバイスには、TD62083を採用しています。

TD62083は8チャンネルのシンクドライバを1つのパッケージに内蔵したICで、18ピンのパッケージで構成されています。 入力ピンと出力ピンが対向配置されていますので、配線がしやすくなっています。

各チャンネルは、図のような回路構成になっています。

どうやって制御するのですか?

表示対象LEDに流れる電流を決定する抵抗です。 活性化された1チャンネルのソースドライバと、シンクドライバとの間に構成されたLEDと電流制限抵抗で点灯回路が構成されるようになっています。

この構成を理解する事が、LEDのダイナミック点灯を制御する上で大切な事です。 ある特定の時間において、同時に点灯させる7セグメントLEDは1つでなければなりません。 点灯させる7セグメントLEDは、ソースドライバの制御で選択します。 シンクドライバは「どのようなパターンを表示するのか?」を決めることになります。

ある1つのセグメントに着目した場合、電流制限抵抗を含めた回路構成は左の図のように単に電源に接続されたLEDと抵抗として見る事ができます。

注意事項

ソースドライバのチャンネルを2つ以上アクティブにしないで下さい。 ソースドライバのチャンネルを2つ以上アクティブにすると、シンクドライバ側に2チャンネル以上の電流を流し込む事になります。 シンクドライバの絶対最大定格を超える可能性があり、場合によってはシンクドライバが破損します。


Prev Next